
時代の変化、ライフスタイルの変化に伴って、現代人の体にも大きな変化、つまり足裏に異変が起ってきたのです。その異変とは、外反母趾や指上げ足(浮指)などからくる足裏の異常と退化です。そして、重要なことはその足裏の異常と退化に伴って、現代人が訴える主訴(痛みや疾病、不調)にも変化が起きてきたということです。それは50年前にはあまりなかったものですが今、現代人にそれが激増し、そして主流となっている症状なのです。
では、その症状とは何でしょうか。それは次の3つに集約されます。
この問題の解明と、それに対応した施術が必要な時代になったのです。『原因のはっきりしない損傷』『足の異常と慢性症状との関係』が、唯一現代医学に見落とされた部分だったのです。これを追及しないのは空論であり、またそれを追及しない施術は今後時代に合わなくなってきます。これからの時代は、足裏から慢性痛や自律神経失調症、疾病を力学的に解明し、それに合った施術をする時代です。患者さんはこの真実の説明を待ち望んでいるのです。
家が傾いたら誰でも土台から正していくという考えが自然に起きるように、人間も土台となる足裏から全身のバランスを正していくという考えが必要です。
また、積木の原理で例えると、積木の1段目が傾くとその上部は崩れないように反対側に傾きバランスを保とうとします。逆に、積木の1段目が安定していると細く、高く積み上げることができます。つまり、人間の体において、土台となる足に外反母趾や指上げ足(浮き指)があると、その不安定を体の上部で補った結果、原因のはっきりしない慢性痛や自律神経失調症状、疾病が起っているのです。だから、このメカニズムを知り、人間の土台となる足裏から正していく考えが必要不可欠なのです。
そして、足裏のバランスを整え「重力」の上に効率よく立ちそして正しく歩くことが重要なのです。これだけでも、全身のバランスが自然に整うので整体やカイロにも役立ちます。
また、どんなに立派な整体やカイロを行っても1日で戻ってしまう場合が多いのです。しかし、足裏から全身のバランスを整えておくと1週間以上はその効果を持続できるという画期的なテーピング法が必要です。(整体・カイロには必要不可欠)またこれは、最大の予防医学となることも知るべきなのです。

足の異常で代表的な外反母趾、指上げ足(浮足)で足裏が不安定になり、重力とのバランスが崩れた結果、身体に歪みを起こし、その歪んだ所に歩行時発生する過剰な衝撃波やねじれ波が繰り返される。その悪影響とは次の通りです。
| 1.足裏に異常があると・・・ | 姿勢や骨格の歪みを発生させる。 |
|---|---|
| 2.足裏に異常があると・・・ | 歩行時に過剰な衝撃波やねじれ波という介達外力が繰り返され関節の変形老化、圧迫骨折、疲労骨折を起こす。 |
| 3.足裏に異常があると・・・ | 柔軟性や歩行能力が衰え、上記1、2を反復させるほか代謝機能も低下する。 |
頚椎と頭蓋骨の接続部に異常が起きて、頭痛、肩こり、めまいの他、自律神経失調症を起こしたり、生活習慣病やそれぞれの慢性病の原因となる。 又、頚椎中間部の損傷は手のシビレなどを起こす。
B.足裏の異常が腰に繰り返されるとヘルニア、分離症、すべり症、狭窄症、ぎっくり腰、慢性腰痛などを起こす。
C.足裏の異常がひざに繰り返されると変形性膝関節症、半月板損傷、十字靭帯損傷、慢性ひざ痛などを起こす。
『医術者(柔整師)であると同時に、哲学者であれ』
『哲学の中に医術を、医術の中に哲学を折りこまなければならない』
つまり、医学と哲学は同じものであると、ヒポクラテスは説いているのです。
私はインターン時代、大きな壁というか矛盾に悩み続けました。それは、スポーツ障害で来院してきた少年の90%が負傷の瞬間を特定できない損傷、つまり原因不明の痛みだったのです。「同じ学年」「同じ運動量」「同じ種目」、更には「同じような体型」「同じような生活環境」にもかかわらず、なぜ一部の少年だけにスポーツ障害が起こってしまうのか、その矛盾に悩んだのです。運動のし過ぎ、つまりオーバーユース(使い過ぎ症候群)では説明がつかないのです。なぜなら、レギュラーで他の仲間より多く運動していても痛くならない者はならない。逆に、補欠で他の選手より明らかに運動量が少ないにもかかわらず、スポーツ障害が起こってしまう、という矛盾に悩んでいたのです。また、OLなど大人を観察した場合でも、エアロビクスやジョギングをして著しく健康になる人がいる一方で、逆にひざや腰、更に首を痛めて頭痛や肩凝り、めまい、うつなど不定愁訴を発症してしまった者も多くいたのです。更に、高齢になってもいつも元気な老人と、逆にいつも具合の悪い老人。一生において、この大きな差はいったい何であろう、本当の原因は何か、必ず何か隠れている原因、今まで気がつかなかった本当の原因があるはずだと悩んでいたのです。それを裏付けるかのように、接骨院を訪れる患者さんの90%、整形外科の80%が、同じように負傷の瞬間が特定できない痛み、はっきりとした原因が思い当たらない亜急性・慢性的な痛みだったのです。はっきりした原因がある者、つまり負傷の原因と症状が一致する新鮮な損傷で来院する人は、接骨院ではわずか10%前後しかいなかったのです。なぜなんだろう、どうして痛くなる者とならない者に分かれてしまうのだろうと、来る日も来る日もそのことだけで頭がいっぱいで、希望を失いかけていた頃、ふと足に目をやったその瞬間、何か不自然なものを感じたのです。よーく見ると「外反母趾」「指上げ足(浮き指)」が共通点になっていることに気づいたのです。「これなんだ!!」と思いました。

それからは、気持ちが一転し、夢中になって患者さん全員の足を診ました。主訴を足から診たのです。例えば、首の痛みやだるさからくる肩凝り、頭痛、めまい、更には不整脈、自律神経失調症状、更年期と診断された者であっても足をみました。特に、腰痛、ひざ痛を起こした人は念入りに見ました。何千人と見ても、また見れば見るほどその確信が高まっていたのです。
独立開業して12年目にやっと念願であった、海外にまで調査に行くことができました。裸足で歩く国の人たちと日本人の足の違い、特に原因のはっきりしない痛みや不定愁訴で悩む人たちの足との差、その比較調査を行ったのです。
インドネシア、タイ、マレーシア、フィリピン、メキシコなどの奥地や離れ小島で、ほとんど裸足で生活している人たちの足を、それから5年かけて調査したのです。
調査結果は歴然としたものでした。また、その調査の中から「日本人の子どもの足と体が危ない」状態にあることも知ったのです。
「足と健康との関係」や「重力とのアンバランスが原因のはっきりしない損傷を起こしている」など医学書にないことも多く発見することができました。
これが、足の研究に更にのめり込む始まりだったのです。

当時、私の接骨院の従業員数は12名でしたが、1日250~300人の患者さんでごった返していました。狭いせいもあり、待合室と治療室の入り口付近は満員電車のようでした。その中では、瞬時の判断が要求され、その連続により何とか1日を終えることができたのです。
その頃は、「治療を休む時は、死ぬ時だ」と本気で考え、仕事に燃え、仕事に命をかけていた時期でした。だから、たとえ調査であれ何であれ、1~2週間治療室を空けるということは身を削られる思いであり、また、出発の時は、「後ろ髪を引かれる」という言葉の意味はこういうものかと分かった気がしました。しかし、それを振り切る、じっとしていられない思い、「知りたい、今行かなければ」という胸騒ぎや不安にも似た焦りが上回り、第1回目の調査を決行したのです。
調査には、ガイド、通訳、それに誘拐されないよう兵士を雇わなければならず、いろいろな費用も思いの外かかってしまうものです。調査は、初めのころインドネシア奥地で裸足の生活をしている人たちが対象でした。ただ町へ出るときは、タイヤの一部を切って作ったサンダルを履いていました。村人の生活習慣や文化も何も分からず、その上予備知識の準備もできていなかったので、一人では何もできず、ただただ孤独でした。夜は、一日の緊張と暑さでぐったりするだけです。最初の1週間はいつも気の休まることはなく、気の弱さを嘆いたものです。
村の風景は、私の小学校時代育った田舎に似ていましたが、ところどころにそれよりずーっと昔に感じられる風景が多くありました。1週間が過ぎる頃、やっと心が通じ合い、朝起こされるまで寝ていることができました。
調査は、訪れた村々でガイドに頼んで村人を集めてもらうのですが、初めは大人でもなかなか出てこない、かなりシャイで純心さが伝わってくる中、1000ルビア(当時の日本円で80円位)をあげると、みんなわれ先にと協力してくれました。

車で、更に内陸部へ向かっていたとき、村が見え小学校があったので突然訪ねて、校長に訳を話すと、心よくその日の授業を中止し、足の調査に生徒全員が協力してくれました。貴重な調査結果がいくつも出ました。裸足で歩く国の小学生と、日本の小学生の比較調査でも、外反母趾や指上げ足(浮き指)の場合、どちらも小学校へ入学する前は大きな差はなかったのですが、1年生から6年生へと年齢が上がるにつれ、大きな変化が見られました。
日本の子どもの場合、年齢が上がるにつれ、外反母趾や指上げ足(浮き指)が増え、それに伴って指あげ歩き(歩行時、足指が地面に接地しない歩き方)が増え、特に3~4年生位からその変化が目立ち始めました。
一方、裸足で歩く国の子どもの場合、年齢が上がるにつれ、逆に足の指がしっかり地面を捉え、踏ん張って歩くようになってきます。やはり、3~4年生位からはっきりしてきます。

今までの調査の中で、内陸部のそれぞれ全く異なる村で、2人の日本人女性と出会いました。何でこんな山奥にいるのだろうかと不思議であり、その理由を最初に聞きました。また何日振りかで日本語が話せるので安心感と共にストレスが取れた感じがしました。そして、その理由は、ご主人と若い頃リゾート地で知り合い、結婚して暮らしていたようですが、35歳を過ぎた頃、年齢的な面から解雇され、そのままご主人の出身地の山奥へついてきたということでした。
何よりも興味深かった話は、その日本人女性の2人共、以前は外反母趾だったのが奥地に移り住んで裸足の生活を2年続けたら、外反母趾が治ってしまったということを聞くことができたのです。
やはり、足裏の適度な刺激による「足底反射」が外反母趾の改善や予防に効果があるという、以前からの私の仮説を再現し、証明してくれたようなもので、このときばかりは大いに喜んだものです。
1週間を過ぎてくると、1日中凸凹した道を歩き、いつもと違う刺激の連続から、足の裏がカッカとほてり出し、熱っぽく、靴の中が蒸れてきます。1日2回位あるスコールが、更に靴の中を蒸らすのです。足の裏がほてり、靴の中が蒸れてくると、なんだか頭の中や首筋まで蒸れてくるような感さえするようになり、足が限界状態に近付いてきます。
普段では、凸凹した地面などほとんど歩くことがないので、足裏が敏感になり、朝歩き始めに軽い痛みさえ感じるようになってきました。その日の夕方、あちこちでよく見かける光景で、道路脇に高さ3m程のやぐらの上に竹をひいて数人の若者が涼んでいました。来るようにと手招きをされるまま、登ったその時、竹の隙間から心地よい風が足の裏を冷やし、癒してくれました。これこそ「天国だ!」と思ったその記憶から、以後私の商品と最初のホームページに「足裏天国」という名をつけたのです。
足の異常、特に足裏の不安定が慢性痛や病気と深く関係していることは事実であり、中でも運動器系・神経系に発生する負傷の瞬間を特定できない亜急性・慢性疾患・神経不調(自律神経失調症状)は80%以上の確率で一致、もしくは比例するからである。家やビルなどの構造物と、人間の体は力学的には同じ構造体であり、建築においても土台とその上に乗る構造物が一体で力学的に比例するのと同じように人間も足(土台)と体は一体であり、力学的な「肉体重力線」でつながっているのである。
その重力とのバランスを最も多くコントロールしているところが足なのであるが、今まで痛みや不調を訴えるとその痛いところ、悪いところ、つまり枝葉にしか目がいかなかった。幹である足(人間の土台)との関連性を力学的に診ようとしなかったのである。家やビルなどの構造物なら、土台あるいは基礎から上部構造を診ていく、という根本的な考え方があるが、人間に対しては人間の土台となる「足裏から全身を力学的に診る」という根本的な考えが不足していたのである。中でも、人間は家やビルと違って2本足で歩く為、その足裏に異常があると地震の原理と同じような「過剰な衝撃波とねじれ波」が発生し、これが日常生活やスポーツ環境において反復性の介達外力となり、構造学的に歪みの大きなところから破壊していく、という考えが不足していたのである。このため、亜急性・慢性・神経不調・自律神経失調症状に対する治療医学の発展が遅れてしまったのである。
足裏の異常が、亜急性・慢性・神経不調、更には病気までも発生させている。このメカニズムも自然界5次元構造の法則に則って定義付けなければならない。
※「足裏の異常」と「自律神経失調症や病気」との関係は、今後出版と共に公開していく。
| 1.安定機能の低下 | 2.免震機能の低下 | 3.運動機能の低下 |
足の異常と健康との関係は、1.安定機能の低下、2.免震機能の低下、3.運動機能の低下とあるが、時間経過を計算に入れた場合、2.の免震機能の低下が蓄積され過労性が増していくのである。
ビルや家が最も早く壊れるのは、地震の縦揺れつまり「衝撃波」と、もうひとつ横揺れつまり「ねじれ波」である。ビルや家は地震が来ない限り200~300 年も形を保持できるが、人間はビルや家と違い2本足で歩く為、その足裏に外反母趾や指上げ足などの足裏の異常があると、歩く度に地震でいう「縦揺れ(衝撃波)と横揺れ(ねじれ波)」という介達外力を発生させてしまうのである。この1回の「縦揺れ(衝撃波)と横揺れ(ねじれ波)」は弱い為自覚することができないが、スポーツや日常の生活環境条件により、半年・1年・3年と反復させると地震のエネルギーに匹敵した大きな破壊力となり、構造学的に歪みの大きいところから破壊していく。これが、負傷の瞬間を特定できない損傷やスポーツ障害であり、亜急性・慢性疾患・神経不調の最大原因だったのである。
歩く時は、必ず衝撃波とねじれ波が発生している、という事実に気付くべきである。
そして、バランスの保たれた足裏の機能は、その衝撃波とねじれ波を吸収・無害化し、バランスの不安定な足裏は、過剰な衝撃波とねじれ波を身体に蓄積させてしまう、ということである。これが、同じ条件下であっても障害を発生する者と、より健康になる者との差になっているのである。
詳しい説明は、著書『過労性構造体医学』(医道の日本社)を参照下さい。
| ■1.安定機能の低下(縦×横×高さ)× |
|---|
| 積木の一段目の原理 → 骨格や姿勢を悪くする。 |
| (例) 顎関節症、偏頭痛、左肩こり、顔面の左右差、側弯症、猫背、骨盤のズレ、O脚、下肢の長短差、開脚運動制限、悪い歩き方・走り方、骨盤の四角映像、下半身太り、巻き爪 |
| ■2.免震機能の低下(時間)× |
|---|
| 地震の縦揺れ・横揺れの原理 → 過剰な衝撃とねじれによる破壊のエネルギーが発生 |
| (例) 関節の変形、疲労骨折多発、中学2年生の分離症の多発、中高生のヘルニアの激増、半月板骨折、頚椎の痛みや変形多発、スポーツ障害多発、アキレス腱断裂の根本原因、自律神経失調症(頭痛、肩凝り、メニエル、高血圧、低血圧、うつ病、著しい冷え性、パニック症、不眠、頭の重さ、頚のだるさ、ED、眼圧異常)など |
| ■3.運動機能の低下(環境)× |
|---|
| 竹馬の原理 → 体が硬くなり、運動能力が衰える。 |
| (例) 運動能力の低下、柔軟性・敏捷性・調整能力の低下、持久力の低下、顔面転倒、子供の転倒率と骨折の頻度の比例、成人病の発生原因、高脂血症、心筋梗塞、脳溢血、脳梗塞、生活習慣病が原因となる糖尿病 |
今まで足裏のアーチとして1.内側のアーチ(A-B)2.外側のアーチ(A-C)それに3.横アーチ(B-C)がいわれてきたが、これでは不十分である。なぜなら、足指も重要なアーチの役割をしているからだ。
足のアーチにおいて正しい構造とは、(ABD+ACE)からなるふたつの縦アーチと(BC+DE)からなるふたつの横アーチの役割をしている(図1)。
このように、足指も縦アーチと横アーチの役割をしているのだ。
人間は歩行において縦アーチ・横アーチそれぞれのアーチの重心点を中心に常にバランスを一つに保ちながら効率よく歩くことを最優先している。内側のアーチ、外側のアーチの両方を使って歩くことはあり得ない。
図1 足裏には2つの縦アーチと2つの横アーチがある
正常な足と不安定な足における足底部へのストレスの違いは、次のようにまとめられる。
【正常な足の特徴】(図2)
【指上げ足の特徴】
| ●足のアーチの正しい構造 3点を使って歩く ![]() |
●縦アーチ、横アーチの重心線で バランスを1つにして効率よく歩く 3点と歩行ライン ![]() |
図2 正常な足の特徴
正しい歩行ラインは図3のように蹴り出すとき、母指がテコの原理でいうところの「力点」となり、母趾球部が「支点」となり、「作用点」が踵になる。
![]() 「力点」・「支点」・「作用点」のバランスが効率的に保たれ、歩行ラインが安定している。 歩行時に発生する衝撃波やねじれ波を吸収無害化。 |
![]() 生理的歩行ラインが消失し、「力点」・「支点」・「作用点」のバランスが小さすぎるため、歩行時に過剰な衝撃波を受ける! |
![]() 歩行ラインのカーブが増大し、「力点」・「支点」・「作用点」のバランスが大きすぎるため、歩行時に、過剰なねじれ波を受ける! |
このように「力点」・「支点」・「作用点」が力学的に安定している場合、歩行効率を高めることができる。しかし、図4のように「指上げ足」・「ハイアーチ足」の場合、「力点」・「支点」・「作用点」の角度が標準より小さくなり過ぎるので、歩行時「過剰な衝撃波」が発生し、これが反復性の介達外力になって上部に繰り返し伝わってします。
一方、「外反母趾」・「扁平足」では図5のように「力点」・「支点」・「作用点」の角度が大きくなりすぎるので、歩行時「過剰なねじれ波」が発生し、これが反復性の介達外力となって上部に繰り返し伝わってしまう。
いずれも、足裏の不安定と共に歩行効率が低下し、過労学的損傷を発生させている。これが、歩行ラインの理論である。
足裏の不安定には共通して「指上げ歩き」(指が浮いている状態)がある。母指が上がっているので、踏ん張る力や蹴り出す力が弱い。つまり歩行時母指や足裏全体が地面に機能的な役割を持って接地していないのである。
このため、歩行時母指が必要以上に小指側に押されてしまう形となる。これが、図6のテコの原理で説明するところの母指が「力点」となり、「支点」が母趾球部、「作用点」が第5中足骨基底部の方向となる。このように「力点」・「支点」・「作用点」の角度が加重時力学的に増すので、不安定な足裏になってしまうのである。これを整える原則や力学的なメカニズムは図7のように「支点となる母趾球部」と「作用点となる第5中足骨基底部」を押圧することである。図8は、テーピング法で「力点」を解除し、「支点」と「作用点」に力が逃げないように押圧、保持したものである。


図6:足裏の不安定(外反母趾や指上げ足)
図7:支点と作用点を押圧してバランスを整える図8:テーピングで整った足裏のバランス
このとき「支点」となる母趾球部の押圧には、中足関節にあたる横アーチが再生され、「作用点」となる第5中足骨基底部の押圧・保持は、リスフラン関節にあたる縦アーチが再生されやすくなる。また、足裏の不安定には高い割合で内反小指が見られ、小指のテープは、横アーチの再生をより可能にすることができる。つまり、「母指と小指を広げると横アーチが効率的に再生される。」この原則に従っているのである(図9)。このようなメカニズムで足裏の不安定(アンバランス)を力学的に整えると、足裏が安定し、足指が正常位置に近づく。バランスを保たれた状態で歩行させ、踏み込むことが重要である。「外反母趾」や「指上げ足」、そのほかの足の異常や不安定に対し、これを一定期間行うことが効果的である。

図9:支点と作用点を押圧すると指が開く原理
専門書「過労性構造体医学」(医道の日本社 出版)より抜粋
新しい考えです。詳しく知りたい方はぜひとも本書を参考にして下さい。